「クスッ、わかってないなぁ~」
するとこの试合で初めてサリアが健士に向かって构えた。
キックボクサーを思わせるような軽快なステップとともに。
「シッ!」
「な、なにっ!」
この试合で初めて见せるサリアの蹴りは、健士も惚れ惚れするほど美しかった。
まるで教科书どおりのムエタイ式のキック。
しかも的确に今の健士がかわせない场所へ叩き込んでくる。
ガッ、バシッ、ビシイッ!
「あがああっ!」
キック三発目を左足の太ももに浴びて健士が呻く。
「女の蹴りでもけっこう痛いでしょ?」
健士が痛めつけられた足を気にして防御しているのを见て、サリアは构えを解いて微笑んだ。
まるで自分のほうが健士よりも上だと言わんばかりに。
「さて、と……そろそろ决めてあげるわ」
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「くっ!!」
大技が来ると思った健士が身构えるより前に、サリアが鋭く踏み込んできた!
「受け止めなさい。脚刀?五段落とし」
サリアが健士に放ったのは五段蹴りだった。左足を轴に上下に打ち分けた后で、反対侧の足でも相手を蹴り上げる双龙脚をミックスさせたような技。
それはキックボクサーの目を持ってしても见きれない动きだった。
「うっ、あっ、がっ! なっ、ああああぁぁ……!!」
「全弾ヒットしちゃったね。ふふふっ?」
蹴り终わったあとでサリアが楽しそうに笑った。
彼女の着地と同时に健士が崩れ落ちる。
「まだ倒れちゃダメなのに」
もはや立ち上がることができない健士の足首をガッシリ掴むサリア。
自らも身をかがめ、マットに転がされた健士に络みつきながら脚4の字固めへと移行する。
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ギチイイィィッ。
「うぎゃああああああああああああああああああ!!!」
「このとおり、私は投げも打撃も関节技も使うからね」
固めた部分に痛みが走るように、ギシギシと健士の膝から下を痛めつけるサリア。
そのサディスティックな表情は笑みを含んでいた。
「あなたは打撃だけでしょう?
その时点でかなり不利だと思うんだ」
それから二分近く、彼の足を痛めつけてからサリアが技を解く。
もはやこの试合中は健士が満足に蹴りを放つことはできないと判断したのだろう。
満身创痍の彼を见てもレフェリーは试合を止めなかった。
ダウンは申告制なのだ。
やがてロープにすがりつきながらも健士は立ち上がった。
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